【Recommended Cactus】炎の刺を持つLuciferルシファー Gymnocalycium ギムノカリキウム 守金魔天竜 

こんにちは。こんばんは。

お元気ですか?

春になり、cactus達も成長期に入りましたね。僕たちも彼らと共に成長あるのみです。

今回はCactus道に入ったら、必ずやその名を聞くであろう伝説のCactus....

 

’’ギムノカリキウム 守金魔天竜(Gymnocalycium mazanense)’’をご紹介します。

 

初めて名前を聞く方もいると思いますので、この’’守金’’の読み方ですが、’’モリカネ’’と読みます。これは、愛知県の”五十鈴園”という有名なサボテン園の先代’’鈴木守金’’さんのお名前です。

そうです! この方が園芸種として世に生み出したので、その名が付いているのです。

 

いやぁ、サボテンに名前が入っているなんて、かっこいいですよね! 日本の誇り。

名前もかっこいいのですが、その容姿も超一流です!(個体差はありますが)

 

では見てみましょう....

 

headerにもしてますが、僕がご縁があって栽培させてもらっている古い守金魔天竜(D×G)です。※このアルファベットは後で説明があります。(Dolce & Gabbanaではございません)

これはもう少し大きな株です。個人的には白刺よりも黒刺が好きですね。

これは、五十鈴園さんに飾ってある真の”守金魔天竜”様の写真です。まだ初々しい頃のお姿。

そして、今回僕がこのblogでお伝えしたい事が2つあります。

 

ひとつは、この”守金魔天竜”についての歴史を紐解くこと....

 

もうひとつは、昨今、’’守金”と言う名前を付けると売れるため、”守金”と銘打った魔天竜が数多く出回り、”本物”が何か分からなくなってきてしまっている....それを懸念して、未来のCactusmanやCactusGirlに、本物を見てもらいたい!そして、本物を知って欲しい!といことです....

 

”守金魔天竜”のCactus Storyは、”絶対に後世に残さなければならない!”と言う勝手な使命感☺︎から、craftsmanである五十鈴園さんの所に直接伺い、お話を聞いてきました....
[メモをblogに起こしたので、僕口調です。]

 

情報というものは一次情報、つまり当事者から直接聞くオリジナルの情報が一番確実です。デカばりに聞き込みを行なってまいりました。あなたはあの晩、何処で何をしておられましたか?的な、アレです。

 

では、”守金金魔天竜”のCactus Storyをどうぞ!

 

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Deca(私 以下D):”守金魔天竜”はいつ頃生まれたのですか?

五十鈴園様(以下I):大体、昭和39年から40年頃です。この頃に南米から輸入球を入れました。

 

D:その時、南米からはどれくらいの数が、どんな経緯で輸入されたのですか?

I:当時、アルゼンチンへ養子に行かれた日本人がおられて、その方は、サボテンが好きで、よくうちへ泊まりに来ていたりしてました。
彼は向こうで農業をやりながら、時間があるときによくアンデスの山へ入ってサボテンを探し歩いていたんです。(※ワシントン条約ができる以前の昔話ですので、今はもちろん出来ません!昔Wild過ぎ!)それで、『五十鈴園さん、サボテンをなんか送ってやる』と言われたんですけれど、当時はまだ$の送金が今のようにスムーズに出来なかったから、仕方がないから緋牡丹(※1園芸品種のサボテン。末文の写真参照)を送ってあげて、それで向こうで商売をされて、そのお金でサボテンを送ってくれました。

 

D:具体的にはどんな名前のサボテンを送ってくれたのですか?

I:Gymnocalycium spegazzinii(ギムノカリキウム天平丸)、Gimnocalycium mazanense var. ferox(ギムノカリキウム斗鷲玉)、Gymnocslycium hossei v. nidulans ( ギムノカリキウム猛鷲玉 )、Gymnocalycium mazanense(ギムノカリキウム魔天竜)などです。

 

D:この中から交配して出来たのが”守金魔天竜”なのですか?

I:そうです。この中から選別して作りました。

 

D:親木は初めはどれくらいあったのですか?

I:大体10体くらいありました。10年くらい前に大病をして商売を辞め、5年前に親木も他の同業者に譲りました。今は一体も手もとには有りません。今はこうして隠居仕事でやっています。
お母ちゃんも手伝ってくへんもん。(笑)◀︎ここはこんな感じでおっしゃられてました。☺︎

 

D:守金魔天竜のラベルには、よくアルファベットの記載があります。これは親木の番号だと思うのですが、採番に基準などはあったのですか?

I:特にないです。順番にAから付けただけです。(僕の情報ですとA〜Hまであるようです。)

 

D:例えば僕がもっている”守金魔天竜”はD×Gなんですが、この掛け合わせは、どのように決めるのですか?

I:適当にかけただけです。(笑)その時のタイミングとかで。これがAとCだよ。これがCとDだよという感じです。俺みたいな大雑把なのは、ややこしく難しいことは考えられないから。(笑)

 

D:この”守金魔天竜”という名前は誰が付けたのですか?

I:この名前はうちが付けた訳ではなく、当時、東京にギムノの愛好家の根岸さんという人がいて、この人が『”守金魔天竜”って名前つけたぞ』って言ってきました。この方は当時、岩波映画や記録映画を作っていた方です。

 

D:昭和40年頃からいまだに、人気があるのは凄いですね。

I :最初は人気はなかったです。500円くらいで売っていたもんね。

 

D:すると徐々に火が付いてきた感じですか?

I:当時、ある程度の大きさの物を(どれくらいだったから分からないけれど)村主さん(※2サボテン界の偉大なお方)があるサボテン園から高額で購入して、それが評判になって、東京でも噂になり、誰が売っているんだ?ってことになり、五十鈴園にあるらしいぞってことで、ある程度売れるようになりました。

村主さんは中学生の頃からうちに来てくれて、あれ欲しいこれ欲しといって、親父(初代)が売れへん売れへんって言って、泊まりがけで口説き落としたりしていた。

それでも、一時そんなに人気がなくなって、5年くらい前から、中国人が’’モリキン、モリキン’’って言って買いに来るようになって、中国で人気が出て、その後、タイでも人気が出た。タイのサボテンの本に守金魔天って写真まで付いていた。えらいことになったなって。
だから、外国で人気が出て、それでまた日本でも欲しがる人が出てきたんです。

 

D:肌の色が緑のものと、黒っぽいものがありますが、個性と考えて良いのでしょうか?

I:実生苗からは色々な顔が出てきます。兄弟でも顔が違うのと一緒です。良い顔、悪い顔もいろいろと出ます。アマチュアの方などは実生で出来たものを全て出してしまう人もいれば、顔を見てこれなら魔天竜でええぞと言って出す人もいます。同じ名前でばらつきのあるものを出してしまうと、人気が落ちることがあります。過去に牡丹もそんな時がありました。

 

D:今出回っているものは何世代目でしょうか?F3(第3世代)くらいでしょうか?

I:そう思います。

 

D:最後に、栽培に関してアドバイスを頂けますか?

I:光線は強くして、風通しの良い環境で作れば元気に育ちます。成長が遅い分とても丈夫です。成長はどちらかというと、夏よりは秋から冬です。冬場の温度の上がらない所だと良くないけれど、ハウスや囲われている場所で、昼間はある程度温度が上がって、夜は0度近くまで下がるような所だと、かえって冬場の方が元気がいいです。夏は水を切るまでの必要はなく、風通しの良い、涼しい所に置いておけば良いです。日焼けはあまりしないけれど、真夏の蒸し暑さは大変苦手です。それでもなかなか良い顔のものは出ないものです。100個撒いて、1個か2個くらいしか出ないです。本当の顔は6センチから7センチにならないと分からないです。

 

D:大変貴重な有難うございました!!

その後、Dは数少ない”守金魔天竜”の苗を、五十鈴園さんのご好意に甘えて購入したのであった。

 

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五十鈴園さんを後にし、現役の親木があるサボテン園にもお邪魔しました。この棘を”基準”にしてみてください。ちなみにこの▼守金魔天竜は、blogの冒頭の五十鈴園さんの写真と同じ苗です。しかし渋くなったなァ。オーラ半端ない。下部の棘は黒くなってますね。

 

F2から出たK! 昔はロウソク棘といって炎の形をした刺も出たらしいです。今は種を撒いてもそんな顔は出ないようです。ロウソクの炎に例えていたんですね。このうねりがポイントですね。
これがF3から出たH!

 

 

◉Cactus Storyの中に出てきた※を補足しておきますね。

※1村主さんはCactusの本も多数出されておられ、多くの園芸種を作出されたりもされている凄い方です。僕も村主さんの本は熟読させてもらっております。ちなみにこれです。

特に左のアンデスのサボテン はおすすめです。

 

※2これが、”緋牡丹(ヒボタン)Gymnocalycium mihanovichii var. friedrichii cv. Hibotan”です。   これも日本産まれの園芸種です。綺麗ですよね。黄色いのもあります。

 

如何でしたか?

いやぁ、浪漫がありますね....

昭和の激動の時代も重なり....運命の綾というか....あのアルゼンチンに嫁いだ方が、五十鈴園さんと知り合わなかったら...その方がブラジルに嫁いでいたら...

そして、印象深かったのは、緋牡丹と交換したというエピソーですね。素敵なお話でした...

先代を泊まり込みで口説き落とした村主さんのサボテンへの熱い熱い想いにも感動しました....

今の時代には無しえなかったであろうエピソードばかりです....

 

もしも、お手元に”守金魔天竜”をお持ちでしたら、このcactusの、この素敵なStoryを....

少しだけ思い出していただけたら嬉しいです....

 

では、これで終わります。

 

栽培方法などはこちらから。▽

【栽培方法】Copiapoaと『強光線』について【 高温に注意して、目指すは美しい丸型】

COOLCACTUS⁎
力強く美しい植物の世界と出会って人生が変わりました。 今は育児休暇中で、子育てと植物の栽培を両立する日々を過ごしております。 そんな日常を、愛を持って皆さんへお伝えし、皆さんの人生に何か役に立つ事があれば最高に嬉しいな。

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